
筆者の中村恒子さんは90歳まで精神科医として活躍し、残念ながら2023年の8月に94歳で逝去された方です。90歳まで働いていたなんて凄すぎる!!どんなにバイタリティーがあふれていた人だったんだろう…私とは真逆だなあと思いながら読み始めたのですが、いざページをめくるとほんわかというか肩の力が抜けるというか自然体な感じでリラックス感が漂っているような文体と内容でとても読みやすく色々な悩みを抱えている人にそっと寄り添ってくれるような本でした。
文体はとても自然体でほんわかした感じなのですが、筆者自身は大変苦労されていて戦後の混乱の中苦労の末、精神科の医師になられます。その後結婚や出産子育てをされますが、ご主人の酒ぐせの悪さや両親との同居、また精神科医としての多忙な仕事をこなす大変な日々を過ごされたようです。
最近の私は家族との関係で悩むことが多く、しんどいなあ、もう疲れたと落ち込むことが多かったのですがこの本を読んで少し気持ちが楽になったような気がします。
そんなに肩の力を入れんとまあ、ぼちぼちやりましょうやという筆者のメッセージがこの本の至るところに散りばめられているように感じました。
苦しい現状をどうにか改善したい。白黒はっきりつけてスッキリさせたいけど、白黒つける勇気もないしそんなことしたらもっと悪い方向に行くのではないかという不安がありどうしたらいいのか悩みいつも気分が晴れない。そんな私にとにかく幸せになりたいとか楽になりたいとかあんまり理想ばかりを追い求めずに今のありのままの自分、今置かれている現状をこれも自分の人生なんだと受け入れて日々のやらなければならないことを淡々とこなしていく。ただ、目の前のやらなければならないことに集中することでいつの間にか今悩みごとが解決していくこともあるんだよというメッセージが込められているように感じました。
決して順風満帆な人生ではないけど、仕事もあるし住むところもある、健康で家族も元気。そんな今のありがたい状況に感謝して100%の幸せや、理想の人生ばかりを追い求めずほどほどの幸せを日々感じながら生きていくのが心に折り合いをつけてうまいことやるコツであるんだろうなあ。ついつい今の苦しい現状や不満にばかりに目がいってしまってストレスを溜めていたけど視点や考え方を変えることで同じ状況でも感じ方が変わって行くのではないかと考えさせられた一冊でした。
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